看板は通行人に対して直角に取りつける

その看板は、本当に「看板」か、それとも「表札」か

「誰」に見せるための看板なのか?

基本的には、
「看板なんて一切設置しない」
というお店は、
ほとんど無いであろうと思います。

どんなお店であっても、
そのお店らしさを演出する目的や、
集客効果をアップさせるために、
ほぼ必ず、看板は掲出しようとするはずです。

(あえて看板を出さずに隠れ家的なお店にする場合などを除く)

 

 

そして、看板とは、その掲出位置のちょっとした工夫や、
色・形の違いで、集客効果にも大きな違いが出ることは、
これまでにも何度も書いてきました。

簡単に言ってしまえば、
看板が見えにくい店舗と見えやすい店舗では、
売上げが全然違ってくる
ということです。

これは、当たり前と言えば当たり前のことです。

 

 

 

では、ここで質問です。

 

看板は、来店するお客様にだけ見せればよい、
というものでしょうか?

「お店を元から知っていてわざわざ来店してきた人」だけに、
見えるようにしておけばいいでしょうか?

 

 

「知っている人に見える」看板はただの「表札」である

実際、そのように考えていらっしゃる方は、
これまでにも多くお会いしてきました。

「ウェブで認知を浸透させて目的来店を誘引するから、
看板は、探している人にだけ見えればいいのだ」

というようなことを仰る方々です。

しかしながら、この考え方は、
ショップビジネスにおいて、大きなリスクとなります。

すでにお店の存在や場所を知っている人に、
何のために看板を見せるのでしょうか?

それは、
「探してきてくれた人が、『あぁ、ここだ』と場所を確認するため」
ですよね。

そのための看板は、「看板」と呼ぶべきではありません。

これは、「表札」と呼ぶ方が正しいでしょう。

 

 

「看板」の本来の設置目的

「看板」とは本来、

そこにお店があることを知らしめるもの
その看板を見ることでお店の存在を伝えるもの

であるはずなのです。

お店(の建物)自体が見えにくかったとしても、
看板があるから人々の視界に入り、知覚される・・・・

ということのために設置されるのが、第一義なのです。

 

 

したがって本来の「看板」は、
「誰からでも見える場所」に配置しなければなりません。

もっと大袈裟に言えば、

「商圏内のすべての人々に
お店を知ってもらえる配置であること」

というのが、とても重要なことになるのです。

 

 

なお、先に申し上げておきますが、
そういった「ベスト」を満たす看板は、
現実的には設置が難しいことは百も承知です。

しかし、最初から諦めてしまい、
視界性を改善する工夫をしないお店は、
結局長く続くことはできません。

100点満点は無理でも、何が現状のベストかを考えて、
少しでもそれに近づけようと努力したお店だけが、
だんだんと商圏内に認知されるようになり、繁盛していくことになる
のです。

 

 

そのようなわけで、今回は、看板を設置する際に気を付けるべき、
「3つの重大なポイント」について、まとめていきたいと思います。

これらを、すべてまるまる実行できなくても、構いません。
こうしたことを意識して、できるところから、
工夫していくようにしていってください。

 

 

「見える」看板設置の3つのポイント

①見える位置・高さであること

これは、基本中の基本であり、
「そんなのは当然だ」
と思われてしまうかもしれません。

しかし、実際に街に出てお店の看板をチェックしていくと、
この「基本」ができていないお店がとても多いのです。

 

一般的に、お店は通行人の進行方向に平行して間口があります。
したがって、そのままでは人々の視界にお店が入らない恐れがあります。

ですので、進行方向に対して、直角に看板が出ていなければなりません。

以下は、よくある間違った事例です。

よくある間違った看板設置事例

 

また、人々の視線は、前を行く人の肩から腰の辺りにいっています。

となれば看板も、野球で喩えるなら、
人の肩から腰の辺りまでがストライクゾーンであり、
ひざの辺りほどに低い位置や、逆に天井ほどに高い位置の看板は、
人々の視線に入らぬボールゾーンなのです。

すなわち、看板を取りつけるなら、
このようにするのが良い、ということです。

看板は通行人に対して直角に取りつける

これが、看板設置の基本のキなのです。

 

 

②商圏内のTGから直接的に見えること

TG(交通発生源)とは、
駅・大型小売店・大型交差点等を指し、
周辺の人々が集中するような施設・場所のことです。

駅であるなら、改札口・出入口・階段口であり、
大型小売店であるなら、正面出入口・駐車場出入口であり、
大型交差点なら、横断歩道のある場所などです。

こうしたTGのポイントから、
自然に見えるように設置されていることが重要です。

 

多くの人が勘違いをすることのひとつに、
「店前を歩いている人から見えればそれで充分」
と思い込んでいることがあります。

それは、大きな落とし穴です。

駅出入口にしろ、交差点にしろ、
その街におけるTGから見えるか見えないかで、
売上げには大きな差が出るのです。

 

ちなみに、売上予測モデルを作る際、場合によっては、
(1)「お店が交差点TG角地にあり、視界性も良好」
(2)「お店は交差点TG角地にあるが、視界性には難あり」

(3)「お店は交差点TGから数十m離れているが、看板がありTGから視界性は良好」
(4)「お店は交差点TGから数十m離れており、TGから視界性も確保できない」
という少なくとも3つのパターンで、売上げが比較できることがあります。

すると、多くの業種業態において、標準的に以下のようになったのです。

(1)「お店が交差点TG角地にあり、視界性も良好」の場合の売上げを「100」とした時、
(2)「お店は交差点TG角地にあるが、視界性には難あり」=70
(3)「お店は交差点TGから数十m離れているが、看板がありTGから視界性は良好」=75
(4)「お店は交差点TGから数十m離れており、TGから視界性も確保できない」=50

驚異的な数字です。

交差点TG角地にあって視界性も取れる時と、
TGから少し離れて視界性が取れない時とでは、
売上げにほぼ2倍の変化があったのです。

一方で、交差点TGから少し離れていても、
視界性がしっかり取れている店舗については、
25%減で済んでいました。

むしろ、交差点角地にあっても何らかの原因で視界性が確保できなければ、
少しTGから外れてでも、しっかり見える方が、僅かながらに売上げは高かったのです。

 

どんな業種業態でも必ずこの通り同じになるわけではありませんが、
こういったスケール感で売上げが変動することは間違いありません。

 

 

 

③キーポイント視界性がとれていること

極めて小さいTG(バス停や病院入口、学校正門前)や、
大型マンション・アパートの入口前などにも、看板を設置することを検討してください。

こうした場所は、特にリトルマーケットなどにおいては、
きわめて重要な設置場所になります。

流入の無いリトルマーケットでは、基本的に大きなTGが、
鉄道駅しかない場合があります。
そのため、駅TGから直接見えるようにするというのは、
現実的に不可能な場合が多いのです。

そうした時にどうすればいいかというと・・・・
その地域の住民たちの生活動線上に看板を設置するのです。

駅から離れている場所の住民たちは、移動にバスを使うことが多いかもしれません。
であれば、バス停から見える位置に看板を設置することで、
日常的に周辺住民にお店の存在をアピールできます。

地域の学校や各種公共施設の周辺なども狙い目です。

こうした地域住民の「キーポイント」となる場所に看板があるかないかで、
商圏内へのお店の認知度の浸透度合いや、リピート率にも大きく変化が生じます。

 

そういった看板を設置しようとする時、ネックになるのが・・・・
そもそも看板の掲出スペースがあるか分からない場合が多いということです。

駅や大型のTG近辺であれば、看板の設置ニーズが元からありますので、
そのためのスペースが確保されていることが多いのですが、
一見して何でもないような場所には、看板が設置しにくい恐れがあります。

そういった時には、例えば・・・・
看板を出したい場所に民家やビルがあったなら、
その持ち主に依頼して、
掲出させてもらうことが必要です。

しっかりとした事業姿勢で運営しているお店であれば、
交渉を聞いてくれる人は多く、決して不可能ではありません。

とりわけ個人店となると、地域の人々に快く協力してもらえるかどうかは、
その後のお店の営業にも大きく関わってきます。
なるべく早い段階で、挨拶回りをするのと一緒に看板の設置候補地点を探しておき、
それが民家の壁などであったならば、その家主にお願いをすることが重要です。

 

 

これら3つのポイントは、しっかり押さえなければなりません。

こうしたポイントをすべて外して掲出する看板は、
人の目にちゃんと触れないのですから、出す意味がありません。

 

 

 

補足:ロードサイドの看板設置ポイント

なお、車を対象とした場合の看板(サインポール)設置の仕方は、
徒歩客を対象とした場合とは少し異なりますが、
基本的には上記の3つと考え方は同じです。

ポイントは、

時速40~50kmで店前を通過するドライバーの視線で、
店駐車場入口から100m以上離れた場所から見えること

です。

 

そして、注意しなければならないこととして、

店前を通る人からの視界性は、徒歩客のそれよりも、
車ドライバーに対しては一層シビアに見なければならない

ということがあります。

徒歩ならば、看板に気付いた時、
「ちょっと立ち止まってよく見る」
といったことができますが、
車を運転していれば、そうはいきません。

したがって、基本的に車ドライバーは、
非常に視界が狭い状態であると意識する必要があります。

静止した状態で見れば何の問題もなく見える看板でも、
車を運転するドライバーの視界には入らない、
ということがきわめて頻繁に起き得るのです。

このことについては、また別の機会に触れたいと思います。

 

 

 

あなたのお店はあなた以外のほとんどの人にとっては知らないお店である

以上、看板を設置する際に重要になる3つのポイントでした。

 

私がこうして立地判定のコンサルティングをしている中で、
最も多い立地の失敗ケースが、この「視界性」の問題です。

すなわち、「お店がちゃんと見えないがゆえに集客できない」というケースが、
皆様が思うよりもずっと多く存在するのです。

セミナーでこのことについてお話しても、なかなかこの危機感は持ちにくいようで、
「お客さんから見つけやすい・認識しやすい看板」よりも、
「自分が好きなデザインの看板」を作ってしまう人が後を絶ちません。

勿論、それが必ずしも悪いというわけではありませんが・・・・
そういうふうに考える人たちは、決定的な見落としがあるのです。

 

すなわち、

「あなたのお店はあなた以外のほとんどの人にとっては知らないお店である」

ということです。

あなたは、自分のお店ですから、愛着があります。
ですから、自分の好きなデザインの看板や外装を作りたいでしょうし、
そうした方が、あなたにとっては見えやすいものになるでしょう。

しかし、道行く人の99%にとっては、あなたのお店は、
「世の中に数多あるお店のうちのひとつ」
でしかなく、なんら特別なものではありません。

したがって、あなたのお店がちゃんと物理的・知覚的に目立っていなければ、
あなたのお店の存在を、人々が認知できるはずがないのです。

あなたもおそらく街を歩けば、「知らない間に」いくつものお店を通り過ぎているでしょう。
それと同じことです。

 

そうならないために、ちゃんと、
「道行く人々の視界にしっかり入る位置」
に看板を設置することは、
あなたのビジネスの行く末を左右する重大な問題だと、知っておいてください。

 

 

 

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