ミクロ立地で最も集客に影響を及ぼす要因

 

「1番重要な立地要因は何ですか?」と聞かれた時、それに即答するのはとても困難なことです。

様々な立地要因が複合的に関係しあって売上げに影響を与えているものですから、個々の要因を完全に独立させて見ることはできませんし、もちろん、業種業態によっても変わってきます。

 

しかし、あまりそこまで突き詰めることなく、ざっくりと答えるのであれば、それは、

「TG」

であると言えます。
(※正確には「商圏(=マクロ立地)」の要因の方が影響が大きいのですが、大体こうした質問の時には、質問者はミクロ立地要因について想定していることが多いため、こう答えます。)

 

 

 

「TG」とは、Traffic Generator(交通発生源)の頭文字を取ったもので、簡単に言うと、「人々が集中的に出入する施設、またはその場所」を指します。

しかも、ただ集まってくるだけじゃなく、もう少し掘り下げて言いますと、「沢山の人が毎日、入れ替わり立ち代わり集まってくる場所」のことです。

 

具体的には、通行人対象立地であれば、駅・大型商業施設(の出入口)・交差点など。
ロードサイド立地であれば、インターチェンジ・ショッピングセンター・交差点・空港などがそれに該当します。

 

よく一般の方々の間でも考えるような、「駅に近いと売れる」というのは、正確には、「駅TGに近いと売れる」ということになります。

駅に限らず、「日常的に人々が集中する場所」であれば、どんな場所でも、立地上の有利なポイントであり、そういった場所からアクセスできるかどうかで、店舗の売上げは大きく変動するのです。

この「TG」が物件の近くにあるかないか、どんな「TG」があるのかということをチェックすることが、集客において最も「核」となる部分です。

 

以下、今回の記事では、通行人対象における主だった「TG」である3つの施設について、見方を解説していきます。

 

 

主なTG1.鉄道駅

TG①鉄道駅

どんな駅でもTGになる(集客にプラスに働く)わけではない

TGとして、最もイメージしやすいもののひとつが、鉄道駅です。

だいたい、ショップビジネスに関わりが無い人でも、「駅前は売れる」という認識を持っているものですが、それは、駅というのが多くの場合、TGとしてきわめて効果的に機能するからです。

鉄道駅ほど、見るからに老若男女が集まっている場所は、他にはそうそう見つけることが難しいものです。

 

 

しかし・・・・
人が集まればどこでもTG、というわけではありません。
自店に関係ない、お金を使う気が無い人ばかりが集まっていても、そこはTGとしての意味をあまり成しません。

ですので、鉄道駅であれば無条件でTGかというと、そう決めつけることはできないのです。

 

もっと厳密に言えば、鉄道駅そのものはTGであるのは間違いありませんが、駅前だからといって、その駅の集客効果を効率的に得られるとは限らない、という話なのです。

それは、勿論、お店の立地、駅との位置関係にもよります。
そしてさらには、駅の構造にもよるのです。

多くの場合において、鉄道駅というものは、確かにその周辺エリア内で最大のTGになります。

商業地域においての駅は、外からの購買客がそのエリアに入ってくる「玄関」と言えますし、
ベッドタウンにおいても、そうした購買客が買い物のために、地元を出る「玄関」ですから。

なお、駅を利用している人の中には、あまりお金を使いたがらない人もいるでしょう。
しかし、少なくとも、「購買意欲を持って外出する人々は、(都市部では)ほぼ駅に集中する」
ということを鑑みれば、他のどんな施設よりも、TGとしての総合的な評価は高いと言えます。

 

鉄道駅のTGとしてのチェックポイント①駅口はいくつあるか

TG①鉄道駅_新宿駅東口 TG①鉄道駅_新宿駅東南口
(新宿駅は全国的に見ても駅口の数がきわめて大きなターミナル駅)

まず、駅口の数と位置をチェックしましょう。

「駅に近い」と言われるのは、正確には「駅口に近い」ということです。
鉄道駅を見たら、駅口の位置を確認しなければなりません。

多くの場合、駅口はひとつではなく、複数あります。
どこに、どのように設置されているか、観察してください。

 

鉄道駅のTGとしてのチェックポイント②駅口の使われ方はどうなっているか

そして、どの駅口を、どのような人々が利用しているのか、よく見てみることが大切です。

例えばよくあるケースとして、駅の東西でエリアの質が大きく変わる場合があります。
駅の東口は商業集積エリアであるが、西口はオフィス街、といった場合、同じ「●●駅の駅口」といっても、東口と西口で、TGとしての評価は全く違ってきます。
これでは、同一の駅であったとしても、駅口によって、「駅前」の意味も変わってきますね。

購買客相手のお店なのに、オフィス街側で出店しても、駅はTGになってくれないわけです。
極端な話と思われるかもしれませんが、こうしたミスマッチ出店は、多くの企業で実際に見られます。

 

また、落とし穴として引っ掛かりやすいのは・・・・
改札を出てすぐの駅口とは別に、地下通路やデッキなどが数百メートルに渡って伸び、駅自体から離れた場所にも、駅口があるケースです。

この伸びた地下通路の先にオフィス街があると、そこの就業者は、駅の外(地上)には出ず、オフィスまでずっとその通路を歩いていくため、駅とその駅口の間の、地上施設への来店がほとんど見込めないのです。

このように、駅口の位置と使われ方によっては、「駅口の近く」といえども、全く集客できない場合もあります。

 

鉄道駅のTGとしてのチェックポイント③集中度はどうか

前述の①・②に付随することですが、物件の近くにある駅口が、周辺の人々が集中する場所でなければ、大した効果は見込めません。

こうしたことを見極めるためには、駅を降りたら、「多くの人の流れにしたがって動く」ということを意識してみることです。
つまり、もし仮に物件が駅の東口側にあったとしても、多くの人の流れが西口側に向いているなら、まずは一緒に西口へ行ってみるのです。
途中で人の流れが分岐していたら、最も多い集団についていき、後でまたその分岐まで戻って、別のルートを歩いてみてください。

こうしたことを繰り返すうちに、駅口の使われ方、集中度合いが見えてきます。
駅とその周辺の人々が何の目的で、どの駅口を使っているかが分かってくるのです。

自店にとって最も効果が高そうな駅口を探す時は、このようにして探してください。

TG①鉄道駅_吉祥寺駅北口

繁盛の可能性が高いTGとなる駅口を見極める

こうして見ていくと、例えば、
「乗降客数10万人で、駅口が5箇所以上ある駅」
よりも、
「乗降客数3万人だが、駅口が1つしかない駅」
の方が、出店した時に、もしかしたら繁盛の可能性が高いかもしれません。

前者が、あちこちに人の流れが分散してしまうのに対し、後者は、全ての駅利用者がひとつの駅口に集中するからです。

 

また、駅口が複数あっても、バスロータリーや商業施設など、駅周辺の構造によっては、1つの出入口しか実質的に使われていない、といったケースも少なくありません。
こうしたことは、事例を挙げていけばキリがありませんが・・・・

とにかく大切なことは、

①駅口はいくつあるか
②駅口の使われ方はどうなっているか
③集中度はどうか

という、この3つをしっかり踏まえ、最も効果的なTGとなる駅口を探していくことです。

 

 

 

主なTG2.大型商業施設

TG②商業施設_あべのHoop

該当する主な施設

これに該当するのは、例えば、

◆デパート・百貨店
◆スーパーマーケット
◆ディスカウントストア
◆ホームセンター
◆ショッピングモール
◆大型家具店
◆大型書店
◆大型家電量販店

など・・・・
店舗面積自体が、1,000坪クラスやそれ以上になるような、存在感の大きな店舗たちです。

お店の規模が大きいと、そのお店自体の集客力が、街の人の流れを作り出します。

駅の近くの大型店であれば、駅からそのお店に向かいますよね。
そして、その出入口に、人々が集中することになります。
すると、そうした人々が集まってくる施設の入口が、TGとなる可能性が高いのです。

 

TGと認められる施設規模の基準-基本

人が集まればどんな商業施設でもTGとなるのかというと、これもまた、そうとは言い切れません。

大切なのは、「どれくらい」人が集まってくるのかということです。

 

商業施設に人々を集中させる働きがどれくらいあるのか、ということを知るためには、まず、そのお店の「年商」を調べると良いでしょう。

一般的に、年商が5~10億円程度なら、それほどTGとしての期待はできません。
10億円を超えると、わりと人が集中しているように見えてはきますが・・・・

集客力が「強い」と判断できるようになるのは、年商【20億円】以上のお店からです。
この規模の売上げ、つまりは集客をできるような施設が、TGとして期待できるひとつの目安となります。

また、このくらいの規模のお店は、たいてい車での来店もでき、広域から多くの人々が集まってくることになります。
すなわち、こうした大型商業施設TGの近くに出店することで、自店の商圏もまた、そのTG店と同じくらいに拡がる可能性があるということです。

 

なお、こうした場合は、その商業施設の駐車場の位置も、必ずチェックするようにしましょう。
お店から離れた場所にあるようなら、その駐車場から、買い物客がどの道を通り、どのように歩いているのか、しっかり観察してみてください。
その道筋に、繁盛物件が見つかる可能性は、少なくありません。

TG②商業施設_アリオ亀有

TGと認められる施設規模の基準-目安

ちなみに、「年商20億円」といっても、商業施設の年商をピンポイントで調べようとすると、難しいですよね。
なかなかそういうデータは表に出てきません。

有料で買うこともできますし、ネットで調べると一部の商業施設についてはデータが公開されていますが、しかし、物件の近くの商業施設をピンポイントで調べることはできません。

日本全国の商業施設を全て網羅する、というわけには、到底行きませんよね。

 

そこで、もうひとつ、別の目安となるのが、これです。

「自店が期待する客数の『10倍』以上の来客があること」

 

すなわち、もし自店が毎日100人の客数を期待するなら、1,000人以上の来客があるような商業施設でなければなりません。

自店に来てくれる可能性のある層の人々が、自店の10倍の人数ほど集まってきている、それくらいの規模があることが、TGとして期待できる最低条件となります。

1日に何人集客しているか、というようなことは、現地で観察していれば、だいたい掴むことができます。
出店候補地の近くに小売店があったら、よくチェックするようにしてみてください。

TG②商業施設_ビックカメラ名古屋西

商業施設TGの注意点

商業施設をTGと見る時は、駅をTGと見る時と、少し違う点があります。

それは、
「そこで売られている商品が自店と競合する場合がある」
ということです。

例えば、ショッピングセンターの中には大抵フードコートがありますよね。
ですので、来店客はほとんどそこで飲食をしてしまい、ショッピングセンター外の飲食店までは来ない、などというケースは、いくらでも存在します。

周辺の街の構造にもよりますが・・・・移動のためのTGである駅とは違い、それ自体がお店であり買い物が目的となる商業施設は、必ずしもプラスの影響ばかりをもたらすとは限りません。

TGへの人々の、「数」としての集中度合いとは別に、そのあたりもしっかり押さえておく必要があるでしょう。

 

 

 

主なTG3.交差点

交差点がTGと見なせる条件

駅や商業施設などの建物だけでなく、交差点ももちろん、TGと見なすことができます。
しかし、これについてもやはり、交差点ならどこでもよいというわけではありません。

TGの原理原則に従い、「沢山の人が毎日、入れ替わり立ち代わり集まってくる」という交差点が、TGになるのです。

 

一般的に都市部でいうと、駅や大型商業施設などに隣接した交差点は、TGと見なすことができます。
その施設を利用する人々が、その交差点を必ず通る、というような場合、そこは集中度の高いTGです。

また、そうした施設に隣接していない、普通の道路同士の交差点でも、そこに人々が集まってくる必然性があれば、そこはTGとなりえます。

 

交差点のTGとしてのチェックポイント①人が集まる理由

「人が集まってくる」のには、必ず、それなりの理由があります。

例えば、その交差点が駅前などではなく、駅からやや離れたところであったとしても、
駅に向かうために多くの人が必ず通るような場所であったり、
地域住民にとって最も分かりやすい道であったり、
ランドマークとして人々によく知られている交差点だったり、

そうした様々な理由で、人々は交差点に集まってきます。
そして、そこがTGになるのです。

 

まず、交差点がTGになるかどうかを考える時は、こうして、「人が集まってくる理由は何なのか」ということにフォーカスしてみてください。

TG③交差点_名古屋駅前
(名古屋駅前、駅とビックカメラの間の交差点。
駅TGと商業施設TGの間の交差点にはきわめて多くの人が集中する)

交差点のTGとしてのチェックポイント②交差点の構造

交差点のチェックポイントとして、もうひとつ、忘れてはならない大切なことがあります。
それは、「人が立ち止まる構造になっているか」ということです。

 

例えば、どんなに多くの人が往来する必然性があっても、車が1台通れるかどうかくらいの道幅しかなく、人々が立ち止まることなくそのまま歩き去ってしまうような交差点では、TGとしての効果は小さいものになってしまうのです。

一方で、4車線以上の幅の広い道路で、交通量が多く、中央分離帯もあり、その交差点以外ではその道路を横断できない・・・・
というような交差点では、人は立ち止まらざるを得ません。

このことが、とても大切なのです。

 

なぜなら、人は、歩いている時はほとんど、「進行方向」もしくは「斜め下(足元の先)」しか、見ていないものだからです。
そのため、歩行中は、周りの景色を実はそんなに見ていません。

交差点で立ち止まった時、初めて、顔を上げて周囲を見渡す余裕ができるのです。

普通、歩いている道の脇にある建物の、せいぜい1階部分は見たとしても、2階や3階部分まで、見ようとはしないものです。
それが、立ち止まることにより、上階の方にも目が行きます。

このことにより、交差点近辺では、「お店を知覚してもらえる度合い」が、大幅に変わるのです。これは視界性の問題でもありますね。

 

信号が設置されている交差点であれば立ち止まる可能性は高いですし、信号が無かったとしても、何らかの立ち止まる理由があればいいのです。
逆に、信号が無い、道路幅が狭いなど、立ち止まる必然性がない交差点ですと、人々はその近辺のお店に特段気付くこともなく、通り過ぎてしまう恐れが大きいということです。

 

 

 

人が集まる場所をTGと呼べる条件

改めて、再度書きますが、人が多く集まるようなところはどこでもTGと呼べるかというと、必ずしもそうではありません。

 

例えば、町の集会場や公民館、市役所、小中学校などは、通常はTGとは呼びません。
なぜなら、TGとは、「集まってくる」「動き出す」という、人々の『動き』に着目したものだからです。

つまり、TGを探すということは、
「なぜここに交通が発生しているのか」
「どうしてここに人が集まってきているのか」
という、その『目的』に着目することが大切なのです。

 

どれだけ人が集まってきていたとしても、その人々の多くが、自店の商品と何の関係もない人たちだったら、それはまったくの無意味ですよね。

人が集まってくる場所をTGと呼べるのは、そこに集まっている人たちが、「自店に来店してくれる可能性のある人々」であることがポイントなのです。

すなわち、多くの商売については、こう言い換えることができます。

 

TGとは、
 
「お金を使おうとしている人がたくさん、それも毎日、違う人が集まる場所」
 
のことである、と。

 

お金を使う人々、つまり購買意欲の高い人々が多く集まる場所こそ、自店を繁盛させるカギになるTGなのです。

大阪のパチンコ店の行列
(自店の業種業態によっては、こうしたパチンコ店もTGとなる可能性があります)

立地判定とはTGを見つけることと同義

よく私はセミナーでもお話をするのですが、「立地判定」とは、極論を言えば、こうしたTGを見つけることと同義と言っても、過言ではありません。

自店の近くに、自店の売上げに大きな影響を与えるTGが、あるのかないのか、また、どういった位置にあるのか・・・・
TGとなる施設や地点を探し、見つけ出して、そこからお客さんを吸引できることが、繁盛立地の最重要ポイントなのです。

 

 

立地は、当然、TGだけでは決まりません。

しかし、TGを外してしまえば、繁盛する可能性は低くなってしまいます。
逆に、ちゃんとTGを押さえ、そこからの集客ができるような戦略を練られていれば、格段に高まるのです。

 

 

 

 

「1番重要な立地要因は何ですか?」と聞かれたら、「それはTGです」と即答しても間違いではないくらい、重要なもの。

 

どんな業種業態においても、です。
「駅前」によく出店されているようなナショナルチェーンは当然のことですが、「駅前じゃない場所でも十分営業できる」という業態でも、TGは欠かすことができません。
駅というTGでなくても良いから、他の何かのTGが無ければ、基本的にはどんなお店も成り立たせることが非常に難しいものなのです。

このことが、立地の基礎の基礎の考え方になります。

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