どっちのお店が「本当に成功している」のか

いきなりですが、質問です。
まずは先入観無しにお考え下さい。

 


 

「月商1,000万円」のA店と、
「月商400万円」のB店があります。

どちらが「成功」している店舗でしょうか?

 


 

 

この文章だけで、単純に考えると、
「月商1,000万円」のA店の方が成功しているように思えますよね。

 

では、少し角度を変えて、
改めて質問です。

 


 

売上予測で1,500万円と出たのに、
実際は1,000万円しか売れなかったA店。

売上予測で300万円程度だったのに、
実際には400万円売っているB店。

どちらが「成功」している店舗でしょうか?

 


 

 

この2つの質問の違い、
お分かりいただけますでしょうか?

ショップビジネスで失敗してしまう人は、
実際の売上げの額だけを見て、

「1,000万円のA店と400万円のB店だったら、
売上げが低いB店の方にテコ入れをしよう」

としてしまうのです。

しかし、実のところそれは、時間とお金と労力の無駄遣いに他なりません。

なぜなら、B店には、もう伸びしろが無いからです。
むしろ、すでによく頑張っている方です。

 

 

一方で、ショップビジネスで利益を出せる人は、
予測値との差異をしっかり見て、

「予測値マイナス500万円のA店とプラス100万円のB店なら、
明らかにA店の方が営業成績が悪いのだから改善せねば」

という真実を見抜けるのです。

 

勿論、精度の高い予測ができていることが前提ではありますが、
予測値に対して実績値があまりにも低い場合とは、

「お店が本来の立地ポテンシャルを活かしきれていない」

という可能性が考えられます。

つまり、言い換えればそれは、
伸びしろがまだまだある、
ということです。

一方で、予測値を上回る実績を出したお店とは、
もう十分にやりきっているお店ということです。

 

 

 

お店の伸びしろを見抜くために必要なこと

しかし、そもそもこうした真実には、

「ちゃんと売上予測をした場合」

にしか、気付くことはできません。

 

なぜならば、売上予測をせずに出店してしまったら、
その予測値と実績値の「差異」を見つけることができないからです。

売上予測が前提に無ければ、ただ単に、
「1,000万円の店と400万円の店がある」
という、冒頭のシンプルな問いにあったような結果しか、
見いだすことができません。

 

ですから、売上予測をせずに出店した企業は、
ここでいう、伸びしろの無い400万円のお店の方にばかり、
時間や労力を使ってしまいます。

売上げが低い方のお店にテコ入れをしたいのは、当然と言えば当然の心理でしょう。
本来どれだけの売上げが出るはずだったのかが分からなければ、
そうなってしまうのも無理はありません。

さらにその上、致命的なことに、
「伸びしろの無いお店に無駄な投資をしてしまった」
という事実にすら、事前に売上予測をしていなければ、気付くことはできない
のです。

そのため、何度もそうした費用対効果の薄い投資ばかりを繰り返し、
そのうちに、チェーンの力を疲弊させていってしまうのです。

 

私が、

「必ずしっかり売上予測をしなければダメですよ」

と口を酸っぱくして申し上げるのは、こうした理由があるからでもあるのです。

 

 

 

売上予測をしないことで見落としてしまうリスク

実際には、よく、

「予測してもしなくても、売れればそれでOK」

と仰る方もいらっしゃいます。

 

それは確かに、表面的に見れば、ある意味でその通りでしょう。

実際のところ、きちんと予測をしていても、していなくても、
結果的に同じ立地にお店を出せば、同じ売上げが得られるもの
です

同じ物件で、売上予測をしないで出店した時は月商500万円だったが、
ちゃんと売上予測をしていれば700万円は売れていた、なんてことはありません。

 

ですから、なんとなくでも、
「ここは売れるに違いない」
とさえ思えれば、精緻な売上予測をせずとも、
ある程度のアタリをつけて出店してしまえばいい。

と、そうお考えになられる方もいらっしゃるでしょう。

それこそ、
「1,000万円売れればもう十分万々歳」
というお店にとっては、上の例で言うところの、
A店を出店できればそれでいいのかもしれません。

「本当は1,500万円売れるはずと言われても、
1,000万円売れてるから十分なんだ」

と、そのように思われるでしょうか。

 

 

しかし、ここで大きな問題があるのです。

上でいうところの、A店の事例を、
「1,000万円売れたんだから成功だ!」
と捉えてしまうことは、次、そのまた次の出店に、
どんどん悪い影響を及ぼすのです。

 

なぜならば、
「本来1,500万円売れる立地で1,000万円しか売れてない」
のですから、このA店というお店は、
正確には「失敗」しているのです。

それが、本質的な真実です。

 

 

ですので、本来であれば、
「なぜマイナス500万円になってしまったのか」
をしっかり調べ、対策を立てなければ、
その後の出店で、同じ過ちを繰り返すでしょう。

A店ではたまたま、1,500万円が1,000万円になってしまっただけで、
その失敗の原因を究明できなければ、次の出店では、
もしかしたら、1,000万円売れるはずが500万円に落ち込むかもしれません。

 

A店を「成功」だと誤認してしまったら、
その後の出店では、A店の真似をするでしょう。

しかし、実際にはA店は「失敗」なのですから、
その真似をしたところで、うまくいくはずがありません。

ずっと「失敗」は続きます。

それでも、売上予測をしていなかった場合、
A店が「失敗」であることには気付けないわけですので、

「なぜ成功店の真似をしているのに失敗続きなのか」
と、いつまでも原因には気付けないままになります。

 

 

どんどん膨らむ負のスパイラル

売上予測をしない企業は、こうして、
間違った認識を持ったまま進んでいき、
どんどんリスクを肥大化させていきます。

A店を「失敗なのに成功だと思い込んだ過ち」が、
お店を増やすごとにどんどん、目に見えて表れてきます。
しかし、しっかりした売上予測をしていない限りは、
ずっとそのことには気付けません。

そして、チェーンは次第に崩壊していってしまうのです。
間違った「成功事例」に向けて突っ走れば。

 

これが、売上予測・・・・つまり、
「立地をちゃんと判定する」
ということをしなかった企業が陥ってしまう、
負のスパイラルです。

一時的にブームで盛り上がった企業こそ、
よくこういう道筋を辿ります。

ブームの時は、「どこに出しても売れる」わけですから、
「これは『全部成功』だ!」なんていうように、勘違いをしてしまうわけですね。

もしかしたら、「本当にブームなら1,500万円売れるはずの場所」なのに、
1,000万円の売上げに甘んじてるお店があるかもしれません。

これは、考えようによっては、きわめて大きな機会損失です。

しかし、

「1,000万円売れれば成功、
そして今はどこに出しても1,000万円売れる」

と思い込んでしまっていたら、
この大きな過ちに気付けません。

そうやって、ブームを過ぎた後に、
「調子に乗ってしまって立地選定が甘かった」
という後悔を残し、事業を縮小するチェーンは、
これまでに数えきれないほど、ありました。

 

 

これは、とても難しい話だとは思います。

1,000万円のお店と400万円のお店を見て、
「400万円のお店の方が成功」と見抜けるかどうか。

この本質的な部分に気付かないまま、
「当たらないなら売上予測をする必要は無い」
なんて言ってるようでは、いつまでも、
盤石なチェーンとしての成功は収められません。

 

 

 

 

売上予測の本当の価値は「予測を当てること」ではない

最後に、このことをお伝えしておきます。

 

極端な言い方にはなりますが、売上予測は、
当たる・当たらないで言えば、「当たらなくてもいい」のです。

多くの人が、「予測は正確に(誤差〇〇%以内で)当てなければならない」という考え方をしており、
「それが無理なんだったら売上予測をする必要なんて無い」としてしまっています。

勿論、精度はとても大切なものですし、それが高ければ高いに越したことはありません。

けれども、売上予測モデルの本当の価値とは、
「当たる・当たらない」ということには無いのです。

 

 

高い精度での売上予測をすることの、本当の意味とは、
売上げの「なぜ」を知ることにあります。

すなわち、どんな立地要因が、売上げに対してどんな関係性を持っていて、
どんな立地ならば自社の業態の売上げは高まる傾向にあり、
逆に、どんな立地に出してしまうと売上げは低くなってしまうのか、
そういった因果関係をしっかり導き出すことこそが、重要なのです。

 

売上予測モデルによって算出される予測値というのは、
それ自体が当たっていても当たっていなくても、構いません。

しかし、何が根拠でその予測値になるのかを、
真剣に分析して考え、算出できていれば、です。

 

そうすれば、仮にその時は当たらなかったとしても、
しっかり分析をして因果関係を調べたその経験から、
「では、なぜ当たらなかったのか」
ということについてしっかり考えることができます。

立地の判断を間違ったのかもしれませんし、
それとも営業内容が想定外だったのかもしれません。

予測モデルでは勘案しきれなかった未知の原因が見つかるかもしれませんし、
予測した時と出店した時とで、そもそも状況が違ったのかもしれません。

 

そうしたことについて、ひたすら仮説・検証を繰り返しながら、
どんどん売上予測の精度は上げていくことができます。

そして、そのうちに、チェーンにしっかりしたノウハウが構築され、
「売上予測通り」の売上げを上げられるお店を、増やしていくことができるのです。

 

 

これが、

「売上予測」無しでは、
チェーンの繁盛は有り得ない

という、理由です。

 

 

 

 

 

これは、ショップビジネスのみに限らず、
ビジネス全般で言えることだと思います。

お店の立地の分析、売上予測でも、
「仮説と検証」をきわめて重んじますが・・・・

仮説を立てる、予測をする、
そういったことが根底になければ、
「結果」から得られるものの価値は、
低いものになってしまいます。

それどころか、「間違った答え」に、
辿り着いてしまう可能性もあるわけなのです。

上でご紹介した、A店とB店の例のように、
本当は「失敗」の事例を、「成功」と思い込んでしまうかもしれません。

 

 

出店を成功させ、未来を切り開いていきたいなら、
それぞれの出店ごとに、売上予測をし、
結果を検証して、さらにその次の出店に繋げる・・・

こうしたプロセスは、必要不可欠な要素です。
 

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事