立地の良否を判定する目的は何か?

「駅前の1等地だから(立地が良い)」
「店前通行量が1万人以上あるから(立地は)大丈夫」
「○○スーパーの出入り口から良く見えるから(立地が良い)」

 

こういった常套句が、その場所に出店するかどうかの決め手になっている個人、チェーン企業は多いと思います。

特に、「通行量」については、車で言う「交通量」と合わせて、本当に頻繁に、説得材料に使われています。
昔から「立地の定石」のように扱われてきました。

余談ですが、今でもフランチャイズ本部が、裁判沙汰になって加盟店側に責められる時、
「本部は通行量調査さえしてくれなかった」
と主張して、司法もこの主張を支持するといった判例もあるくらい、通行量は一般的に大事にされています。

 

 

ただし、もちろん、賢い個人・チェーン企業は、単一の立地要因だけを決め手にしていることはないでしょう。

むしろ、チェックリストを用意して、数十項目以上のチェックを行って、得点化し、「立地の総合得点」を出していることの方が多いかもしれません。

 

しかし、それだけでは、これでも本来不十分です。
まったく意味がないとは言いませんが、「そもそも何のために立地を得点化するのか」を考えた時、「立地判定」だけで終わってしまっては、その本質的な意義がなくなってしまうのです。

 

 

ここで、今一度考えてみてください。

立地の良否を考え、決めるのは何のためでしょう?

 

それは、

その立地で商売して行けるか、利益が出せるかを、前もって想定しておくため

ですよね。

すなわち、もっと突っ込んで言うならば、

売上予測をするため

ということです。

 

ここのところが、重要なのです。
「そんなこと決まっているではないか」と、当たり前のように思われる方は多いでしょう。
しかし、「頭では分かっている」はずなのに、実際には多くの方が、この部分をうっかり見落としています。

 

 

良質な売上予測手法に共通しているポイント

「売上予測」と一口で言っても、そのやり方には様々な手法があります。

しかし、「良質な売上予測手法」には、ある共通しているポイントがあります。

 

 

それは、

立地の要因と売上との関係性を「数字」で繋げている

ということです。

 

立地のチェックリストを用いて、「総合得点」を出すならば、その後、

その点数が、実際の売上げで言えばいくらになるのか

まで分かって初めて、立地判定は、本来の意味を持つようになるのです。

 

皆さんは、売上予測をする際、

立地の要因の何が、売上げにどれだけ関係していて、
別の要因はどれだけ関係していないか、

などを、ちゃんと把握しているでしょうか?

 

さすがに、個人店や、店数の少ないチェーンさんだと、ここまで掘り下げるのは難しいかもしれません。
しっかりとした統計解析は、少なくとも、30店舗以上のサンプルが必要ですからね。
しかしそれでも、5~10店舗もあれば、ある程度の目安を導き出すことができます。

例えば、
「商圏人口が3,000人違ったら、それは売上げにどれくらいの影響を与えるのか」

自社のそういうデータを、知っていますか?
100万円ですか?
200万円ですか?
それとも500万円ですか?

もしかしたら、あなたの業態には、
「商圏人口は最低5,000人以上いれば、それより多くても売上げはほとんど変動しない」
という特性があるかもしれません。

それが分かっていれば、商圏人口7,000人の物件と10,000人の物件とで、迷うことは少なくなるでしょう。
「両方とも基準は満たせているのだから、あとは他の要因を優先して見ればいい」
という判断が下せます。

「こっちは人口7,000人だけど視界性は良い、こっちは人口10.000人だけど視界性は悪い、どっちを選んだらいいんだ」
なんて悩む時間は、チェーンの発展を遅くするだけです。
この場合は、「7,000人で視界性良好の物件」の方を、迷わず獲得しに動けばいいわけですよね。

逆に、あなたの業態の特性として、
「視界性よりも商圏人口の方が、売上げに対して●●倍影響度が強い」
という数字が表れてきているなら、そこをしっかり比べればいいだけです。

 

 

ただ、こうしたことがわからないまま、なんとなく立地が良いとか悪いとか感じたままでは、「だから売上は○○万円だ」としっかり言うことはできません。

売上予測ができないままでは、例えば、「月商800万円売れれば利益が出る」というような立地があったとしても、そこへの出店可否が分からないままです。売れるかどうか、分からないわけですから。

それなりに出店の勘と経験があれば、「800万円売れるかどうか」については、ゲームの「High & Low」のようにして、「予想」できるかもしれません。
しかし、「じゃあ『いくら』の利益が出るのか?」ということについては勘案できません。

また、立地要因ひとつひとつとその予測数値が紐づいてなければ、例えば「視界性の改善さえできれば損益分岐をクリアできる」というような物件があったとしても、見逃してしまうことになりかねません。

 

 

 

 

 

立地要因からの売上予測ができないと「ブーム(一過性)」で終わってしまう

「立地」は、本当に、本当に、本当に重要なことです。

どんなに商品力があっても、立地を考えないわけにはいかないものです。

これは2年ほど前の記事になりますが・・・・居酒屋業界できわめて高い営業力を誇っていた、とあるチェーンさんが今苦戦しているというニュースがあり、そこには、
「ブームが最高潮のときはどこに出しても成り立つと立地選定が甘くなっていた」
と社長様自ら語っていらっしゃいました。

ご興味がございましたら、その記事はこちらですので、読んでみてください。

 

 

どんなに商品力や営業力が素晴らしくても、多店舗展開をしていこうとしたら、ほぼ100%必ず立地の問題にはぶつかるわけです。

そうなった時、その後の明暗を分けるのは、
「立地要因からの売上予測をできているか」
という点に尽きます。

 

出店にかかる費用と売上予測のシステム作成にかかる費用を比較すると

なお、ちょっと営業的な話にはなりますが・・・・

上の記事のチェーン店では、1店舗あたりの出店費用は6,000万円ほどだそうです。

そこそこの規模のお店であれば、これは驚く数字ではありませんよね。
当然かかる費用であり、「投資」です。

そして、立地要因と売上げを結びつける、「売上予測モデル」の作成は、その10分の1以下の費用でできます。

内容や精度、こだわりにもよりますが、どんなにエネルギーをかけたとしても、5分の1(1,000万円)以下で済ませられるでしょう。
(私たちがお受けする依頼のほとんどは、1モデルにつき300~400万円程度です。
特殊な事情があって、高額なデータや外部システムを導入する場合にのみ、これ以上の価格になります)

たったそれだけの費用で、チェーン全体の行く末を左右する、重要なシステムを作ることができます。
勿論、1度作って終わり、ではないですが、維持費用にしても、1店、繁盛店を出せてしまえば、その1か月分の利益で、3年分は賄えるでしょう。
そういう、費用対効果の非常に高いものなのです。

下の画像は、実際にクライアントの企業で使用されている売上予測モデルの、「売上予測シート」のサンプルです。

売上予測モデル運用シートサンプル①売上予測モデル運用シートサンプル②

印刷したらA3程度の大きさであるエクセルシートに、物件周辺の統計データや実査して分かったことなどを入力していくと、その物件での売上げが予測できる、というものです。
こうした売上予測システムを作るには、私のような立地専門のコンサルタントに外注してくださっても勿論いいですし、社内でしっかり人材育成をなさるのは、なおいいでしょう。

私自身が、人材育成のお手伝いもしております。
「売上予測をできる人材を育てる」というものですね。

ただし、
どこかのチェーン店の店舗開発部員を引き抜いてきて、
「全部君に任せるから作ってくれたまえ」
というように丸投げするのは、いけません。

店舗開発と売上予測は本来、別の業務です。
特定の人が兼任しているような場合では、本来のポテンシャルは発揮できないのです。

その理由は、別記事にてまとめられております。

 

せめて、売上予測モデルについてくらいは、外注するなり別の専任者に作らせるなりしてから、店舗開発をするようにしましょう。

 

 

まとめ

立地を見るのは、売上予測をするため。

そして立地判定を、本当に意味あるものにするのが、立地要因を数値化できる「売上予測モデル」。
これは、盤石な出店戦略には、欠かせないものです。

売上予測モデルを作り、立地を判定するスピードを上げ、どんどん店舗開発を加速させていく・・・・

これが、チェーン展開の最高の成功パターンです。
 

 

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