「すっぽ抜け」の恐怖

今回の記事でお伝えするのは、
お店の売上げに多大なダメージを与える、
「すっぽ抜け」という現象についてです。

これはその名のとおり、商圏内のある地域が、
「すっぽり抜け落ちてしまった」り、
本来なら店の前を通るはず人達が、
「すっぽり抜けて、来なくなってしまう現象」
のことを、そう呼びます。

 

 

すっぽ抜けの最も分かりやすい原因

「商圏内のある地域だけが抜け落ちる」
という場合の多くは、
同業店の存在が大きく関係してきます。

 

仮に、自店舗の商圏の中に、
とても競合性の高い同業店が含まれているとします。

そうすると、その同業店の周りからだけは、
自店舗に来てくれるお客さんがいない、
というようになることがよくあります。

同じような商品・サービスを扱っているなら、
ほとんどの人は「なるべく近い店舗に行きたい」と思うものですから、
自店よりその同業店を選ばれてしまうのは、仕方ないことです。

これは、なかなか解決するのが難しい問題ではありますが、
なんとか回避したり影響を軽微にしたりしたいとお考えならば・・・・

商圏として想定されるエリア内に強い同業店がある場合は、
その同業店を意識してメニュー開発をおこなったり、
開店後も逐一QSC改善を行ったりなど、
営業面で多大な努力をしていかなければなりません。

 

 

同業店以外の原因がもたらす「すっぽ抜け」の恐ろしさ

しかし、まだ、こうした同業店による「すっぽ抜け」は、
ほとんどの経営者が気付きやすいものです。

「同業店」というファクター自体、お店を出そうとする人のほとんどが、
強く意識する傾向にありますから。
(むしろ気にし過ぎだと思えるレベルの心配性の方も多いくらいです)

 

むしろ問題は、同業店が無いにも関わらず、
「すっぽ抜け」が起きる場合です。

 

こういった場合こそが、要注意なのです。

お客さんになってくれるだろうと期待した地域の人々が、
出店してみたら、「なぜか」来店しないわけです。

これに気付かずに出店してしまうことほど、
恐ろしいことはないでしょう。

 

どの地域からお客さんが来てないのか、
なぜお客さんが来ていないのか、
その原因を、出店後に徹底的に調べてみると・・・・

容易には取り返せない落とし穴に気付いてしまうことがあります。
しかし、できることならばそういったことには、
出店前に気付きたいものですよね。

 

 

 

 

恐ろしい「すっぽ抜け」が発生する道路構造

基本的に「すっぽ抜け」は、
街の構造、もっと言えば、
「道路構造」が原因で発生します。

 

ショートカットによる「すっぽ抜け」

もっとも分かりやすいのは、
下図のような場合です。

道路構造によるすっぽ抜け

多くの店舗経営者が、こういった構造の道路において、人々が、

『A→B→C』

というルートを通るように思ってしまうのです。

ですから、(ア)の地域の人々はお客さんになるはずだと考えます。
(ア)の地域に、仮にマンションや団地群があり、
周辺ポテンシャルは十分だと思うと、
このお店はとても良い立地であると考えてしまいがちです。

 

 

しかしながら、実際は・・・・こうした構造の道路の場合、人々は、

『A→  →C』

というように、ショートカットしてしまうため、
お店の前は通らないというような現象が起きます。

 

仮にこのお店が「A→B」の交差点角地に位置していたとしても、
店前道路に出る前に人々がショートカットでに流れてしまえば、
実質的にこのお店は、(ア)のポテンシャルを効率的には吸引できません。

これは、きわめて重大な機会損失であると言えます。

「(ア)の大きなポテンシャルを吸引するのに、
そこから出てくる縦の道路と、
大幹線道路である横の道路が交差するポイントなら、
良いTGになるに違いない!」

というように考えてしまうことは、大きな過ちなのです。

 

この図は分かりやすいので、
ぜひこの構造を覚えておいてください。

 

迂回することによる「すっぽ抜け」

それから、「歩道橋」「陸橋」がある場合にも、
こうしたことが頻繁に起きます。

 

一般的に人々は、大きな道路を渡る時、
登り降りをしなければならない横断陸橋を避けたがります

ですから、平面の移動で行ける横断歩道があれば、
多少信号の時間を待っても、そちらを渡ることが多いのです。

例えば、この図のような構造の場合です。

歩道橋を迂回するために起きるすっぽ抜け

この近辺では、交差点(B)には陸橋のみで、
平面を行く歩道がありません。

したがって、(A)に住んでいる・働いている人々は、
その交差点の陸橋(B)を通らずに、
横断歩道(C)を行き来してしまいます。

すると、本来は、「良い立地」と言われやすい、
「大型交差点周辺」であっても、
このように、地元の人が通らない立地、つまり、
「貧乏立地」になってしまうのです。

 

駅前ロータリーの「すっぽ抜け」

さらには、駅前ロータリーでも、
似たような現象が起きます。

 

「駅前ロータリーにお店が面している」
と言うと、立地が良さそうに感じますよね。

しかし、そうとも言い切れないのです。
ここでも、場合によっては、
「すっぽ抜け」が起きてしまうからです。

それは例えば、下の図のように、
わざわざロータリーを大回りしなくても、
その真ん中を突っ切る道があるような場合です。

駅前ロータリーで起きるすっぽ抜け

人は、目的地に向かう時、
「少しでも短い距離をいこう」
とする心理が働きます。

ですので、その突っ切る道の方へ向かい、
ロータリー沿いのお店には行かない、という現象が発声します。

わざわざロータリーを回り込まなければいけないことは、
心理的にとても負担・不便に感じるからです。

勿論、腐っても駅前ロータリーに面しているものですから、
売上げが低いということにはならないでしょう。

しかし、多くの場合、
「駅前だったら普通はこれくらい売れるだろう」
という予想よりはずっと低い売上げになってしまいます。

 

 

 

「すっぽ抜け」が起きる場所は「最悪の貧乏立地」

「周辺ポテンシャルは十分にある」
「交差点角地である」
「駅前ロータリーに面している」

 

こうした、「一見して良さそうな立地」でも、
道路の構造が、上に挙げた事例のようであれば、
「本当に良い立地」とは言えないのです。

なぜなら、動線が実際には形成されていないわけですから。

 

 

しかしながら、以前にも書きましたが、
物件の家賃は、動線ができている・いないに関わらず、
「一見して良さそう」であれば、高くなる傾向にあります。

<参考>

 

すなわち、「すっぽ抜け」が起きる立地とは、
「一見して良さそう」であるがゆえに家賃が高く、
しかし実際は動線ができていながゆえに立地は悪い・・・・

最悪の「貧乏立地」
ということになりますね。

 

 

 

こういった場所への出店は、当然ですが、
極力控えるのが、賢明です。

もちろん、「絶対無理」というわけではありません。

例えば、駅前ロータリーに面し、視界性が確保できるなら、
動線から少しくらい離れていたとしても、
お店の営業力次第では、目的来店を狙えるでしょう。

(まぁ、もし視界性も悪かったら、
救いようがないかもしれませんが・・・・)

 

しかしながら、繰り返しになりますが、
こうした「すっぽ抜け」が起きる物件は、
「家賃の高さのわりには立地が悪い」
という、割に合わない物件であるということに変わりはありません。

こんな「一見良さそうな場所」に出店できる、つまり高い家賃を払えるなら、
わざわざこんな立地の悪いところを取らなくても、
同じ家賃でもっと立地の良い物件はたくさんあるでしょう。

そこまで考えると、やはり、
「すっぽ抜けが起きる立地には出すべきではない」
ということになります。

 

 

 

「すっぽ抜け」は立地に精通していないとなかなか気付けない

こうした「すっぽ抜け」は、なかなか、
立地を視ることに慣れていないと、気付きにくいものです。

ですので、
「『立地は良いはずなのに』お客さんが来ない!」
という、間違った思い込みに繋がり、
正しい改善策を取れないまま、撤退してしまうお店が後を絶ちません。

 

こうした場所には、まず出店しないことが大切ですが・・・・

自店がすでにこうした立地にある時は、
それをしっかり見極めた上で、
しっかりとした対策を取るべきです。

 

「駅前なんだからTG・動線は十分高評価のはずだ」
という思い込みを捨て、

「自分で思った以上に動線からは外れているのだ」
ということを意識した上で、

「せめて他の部分を工夫してカバーするようにしよう」
というような発想に至れるかどうかがカギを握ります。

 

 

「立地が良いのに」お客さんが来ないなら、
お店の中身に問題があると思われます。
そういう時は、営業内容を改善するべきですよね。

しかし、「すっぽぬけ」でお客さんが来ないなら、
それはそもそも、「立地が悪い」のです。

となれば、改善するべきは、中身ではなく、立地です。

看板を設置して視界性を改善するなり、
商圏内の人々に効果的なチラシの撒き方をするなり、
立地の観点からの改善をしない限り、
売上げが高まることは決してありません。

 

 

「一見して立地が良いと思える場所」でよく発生する、
この「すっぽ抜け」という現象の恐怖・・・・

このことをちゃんと知って、
どんなに「良い立地」に見えたとしても、
注意深く動線の形成具合を観察するようにしてください。

 

 

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