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実地調査、略して実査(じっさ)です。

お店を出すにあたり、街や物件を現地に見に行き、調査することです。
個人店からチェーン企業まで、出店前に欠かさずおこなわれるもの。

下町の風景

今回は、調査担当者が実査をするにあたり、様々な手法や技術的なことも勿論重要ですが、
そうした事柄以前の問題として、必ず持っておくべき「心構え」について書こうと思います。

 

それが、
「実査の5原則」
です。

 

全ての手法、技術は、この「心構え」の上に成り立ちます。

 

どういった「心構え」で実査に臨むのか、
それ次第で調査自体の精度も変わりますし、
ひいては担当者の成長度合いにも関わるため、
チェーンが大きな成功を得られるかのポイントにもなるのです。

そんな、調査担当者がしっかり持っておくべき、
知っておくべき「実査の5原則」を、ひとつずつご紹介します。

 

 

 

1.売上予測の原則

実査をする時、ただ漫然と見ているだけではいけません。
立地や商圏を見て、対象の物件の売上げがいくらになるのか、
常に考え続けてください。

目の前の立地状況が、売上げにプラスなのかマイナスなのか、
その影響度合いはどれくらいになるものなのか、
そういったことを考え続ける習慣こそが、
ゆくゆくは精度の高い予測に結びつくのです。

「この物件は○○万円くらいは売れるのではないか」
と自分の中で立てた予測があればこそ、
実際の売上げが出た時に、それとすり合わせができます。

当たっていれば自信に繋がりますし、
外れていれば、なぜ外れたのかを考えることができます。

調査担当者の、時には予測システムに勝る「カン」は、
この原則を守ってこそ研ぎ澄まされていく
のです。

 

 

2.五感優先の原則

実査の前後に、商圏の統計データや地図情報などを調べることは、
言うまでも無くきわめて重要な事です。

しかし、それを鵜呑みにしないでください。

例えば、統計データで見ると商業ポテンシャルが大きい街でも、
実際に現地を見てみると、人もまばらでお店も少ない、ということがあります。
そんな時、「いや、データでは大きいんだから大丈夫」と思うのは危険です。

もしかしたら、データの年次が古いのかもしれません
集計方法の問題で、駅向こうの商業施設のデータが入っているのかもしれません。
そもそもデータ自体が間違っている可能性だって、あります。

現場で、その目で見て、耳に聞こえた状況こそ、真実です。

 

 

 

3.数値化の原則

五感で得た情報は、その本人だけの感覚にすぎず、
「人が多そう」「だから売れそう」では、「予測」にはなりません。

その五感で感じたことを、数値化して初めて、
他人と共有することができますし、「予測」に反映できるのです。

勿論、前述のような統計データだって立派な数値のひとつです。

さらには、
「交差点の規模」
「動線の集中度」
「視界性評価」、
「インアウトのしやすさ」など、
そういうものひとつひとつを、丁寧に数値に置き換えてください

視界性評価で例えるなら、もっとも単純な数値化として、
「よく見える=3」
「探そうと思えばちゃんと見える=2」
「自然には気付けない=1」
「物理的に絶対見えない=0」

のような具合に、まずは作ってみることです。

こうしたことが入口になり、
次第に、より精緻な基準作りに繋がります。

 

 

 

4.比較の原則

数値化したものは、比較することで初めて客観性が備わります

ひとつの物件だけをずっと見続けていても、何も見えてはきません。
「良い・悪い」の判断は、常に「比較」することから生まれます

「あの物件よりは良いけど、あの物件より悪い」
そういった比較を繰り返しているうちに、
「良い物件・悪い物件」を見極める基準ができてくるのです。

実査した物件それぞれについて、
立地状況をつぶさに数値化し、
それらを、比較表を作成してみてください。

この原則にいかに忠実に在れるかで、
売上予測の精度は、大きく変わります。

 

 

 

5.仮説・検証の原則

いかなる理論でも、検証がなければ単なる仮説です。

五感を使って観察し、それを数値化し、比較していくと、
売上げに関わるであろう要因の「仮説」が見えてきます。
次は、それを「検証」しなければ、意味がありません。

これは非常に大切なことで、なんとなくイメージで、
「きっとこういうことが売上げに影響するのだろう」
と考えても、実際には無関係、ということが多々あります。

例えば、交通量というものは売上げに大きく関係しているだろうと、
大半の人が考えている時代がありました。
しかし、実際のところ、それを検証できた人はいません。

むしろ、「そんなに関係ない」ということが検証されたほどです。
(業態にもよりますがほとんどの場合)
交通量よりもはるかに強く売上げに関係する要因が、
すでに様々なケースでいくつも検証されています。

であれば、検証できていないことを基準にして売上予測をするより、
検証できた要因を用いる方が、よっぽど精度は高いものになります。

仮説の段階では重要に思えていても、検証してみると違う、
なんていうことは、売上予測の分野において日常茶飯事
です。

そのため、この原則が守られていなければ、
いつまでも精度は高まらないのです。

 

 

 

立地のパイオニア「ソルブ」のロゴマーク

以上、調査担当者が知っておくべき
「実査の5原則」
でした。

開業を志す個人事業主も、
チェーンの開発担当者も、
勿論、私のような店舗のコンサルタントも、
物件を見て調査することに携わるのであれば、
必ず持っているべき「心構え」です。

こうした原則を守る「心構え」の土台があればこそ、
様々なツールを効果的に使えますし、
技術も身についてくるものです。

しっかりと、押さえておいていただきたいと思います。

 

なお、私が以前に所属していた、父の会社ソルブのロゴマークも、
「実査」をきわめて重要視する心構えから作られています。

こちらがそうです。

ソルブロゴマーク

こちらのマーク、関係者の間では、
通称「歩け歩けマーク」とも呼ばれ、
精緻な売上予測の基礎は、商圏をとにかく歩きまわることから始まる
と、私も口酸っぱく教えられたものです。

それくらい、実査が大切だ、っていうことです。

しっかりした心構えで、実査に臨むこと。
それが、全ての立地判定・売上予測に繋がります。

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