客席増が売上増に繋がる条件

客席を増やすと売上げは増えるのか?

特に飲食店においては、長く営業をしていると、
「客席をもう少し増やした方が良いのではないか」
と検討する機会を持つことがあります。

それは、例えば、

①お昼のピーク時間帯になると今の客席数だと不足してしまう

②隣のテナントが抜けるのでそこも貸してもいいと家主に言われた

③来年はお店の改装をするから適切な客席数を計算しておくように上司に言われた

④お店の前にスペースがあり、パラソルと椅子を置けるので、それらを購入して設置してみようと思う

などというようなケースが挙げられます。

そして、これらのようなケースはいずれも、
そのお店の適正な客席数はどれくらいか
を考えるべき、重要なタイミングなのです。

 

もし現状で席が「足りていない」のであれば、
席を増やせば、売上げは上がる「かも」しれません。

 

しかしながら、ここでひとつ、大きな問題があります。

 

客席を増やすと、売上げは「必ず」増えるでしょうか?

 

 

 

ピークカットが発生していれば売上げは上がる

例えば、上記の①のような場合には、実際に特定の時間帯に客席が不足していて、
「お店にお客さんは来ているけど、帰られてしまう」
という切実な事実があるわけです。

この状況を、ピークカットと呼びますが、このようなことが起きているなら、
この改善を図る、つまり「客席を増やす」と、確かに売上げは増加するでしょう。

 

ただし、客席数を増やしても、注文を聞くのが遅れたり、
料理を提供する時間が遅くなったりと、オペレーションが悪化するようでしたら、
それは当然意味がないわけなので、その辺りの注意も必要です。

 

とはいえ、基本的には、どんなにお客様が増えても、
きちんと対応できるというのが商売の原則ですから、
ピークカットが起きているのであれば、
それさえなくせば、「客席増=売上増」の公式は成り立ちます。

 

 

ピークカットを無くしたら売上げはいくら増えるのか?

具体的に言えば、今までピーク時間帯、
「1時間に30席で3回転して90人のお客」だったなら、
そこで10席増やせば、集客は30人増えます。

したがって、売上げは33%増えるということです。

 

飲食需要の低い暇な時間帯にいくら努力してもせいぜい数人のお客様が増えるだけですが、
お店で最も需要が高くなるお昼や夕方のピーク時間帯で客数の増大を図ろうとすることは基本中の基本です。

 

 

 

 

客席増が売上増に繋がる3つの条件

さて、こうしたピーク時間帯においては、客席数と売上の関係は分かりやすいのですが、
それでは、他の時間帯などを含め、一般的にはどうでしょうか?

問題はとりわけ、冒頭に挙げた事例の、②や③のような場合に起きます。

 

店舗面積そのものを増やす、あるいは改装をするなど、
そうしたことをするためには、いずれも多額の投資が必要となってきます。

したがって、投資に見合うだけの見返りが得られるかは、
きわめて重要な判断になります。
場合によっては、「出店するかどうか」と同じくらいの、予測精度を要求されます。

 

 

このことについての答えは、こうです。

 

客席を増やして、客数や売上を増加させるには、
満たさなければならない3つの条件があります。

 

 

客席増が売上増に繋がる条件①マーケットの大きさ

まず第一に、
「マーケットが大きいこと」
です。

 

お店のあるマーケットの規模が大きいほど、増加する度合いは大きくなります。

流入の無いリトルマーケットでは、客席を増やしてもあまり効果は期待できません。

 

<マーケットの大きさについて参考>

 

 

客席増が売上増に繋がる条件②余剰ポテンシャル

第二は、
「現時点でポテンシャルを取り切れていないこと」
です。

先ほどのピークカットの例のように、
「客席が足りなくてお客さんが入りきれない」
という現象が発生している時、それは言い換えれば、
「ポテンシャルを取り切れていない」
ということになります。

 

こうした場合は、客席を増やすことで、
よりポテンシャル吸引をしやすくなるので、
売上が増える可能性は高いのです。

 

 

客席増が売上増に繋がる条件③ダイナミックな増やし方

第三は、
「増やすならたくさん増やすこと」
です。

客席を増やすときは、大幅に増やすほど、その効果は高くなります。

 

逆に言えば、数席程度を増やしたところで、あまり効果はないということです。

 

具体的には、「30%以上」は増やしましょう。

すなわち元の席数が10席なら3席以上、30席なら10席以上、
100席なら30席以上増やさなければ、目に見えるほどの売上増にはなりません。

 

下の表は、あるレストランチェーンの店舗改装の実績を示したものです。

客席増と売上増の表

このチェーンの店舗はどのお店も人気で、客席不足が全体的に大きな課題でした。

そこでまず、S駅前店が40席しかなかったため、66席分、増やしました。
2倍以上の客席の増加です。すると、月商が200万円以上も増えたのです。

なお、このお店の場合は、厨房やデッドスペースをうまく工夫し、
何とか詰め込んで増やしただけでしたが、それでも、これだけの効果が出ました。

 

そこで、今度はJ駅前店も、同様の工事を行いました。
この時も大幅な増加です。

元62席に対して48席増やしたので、70%以上増加したことになります。
すると結果的にはここでも、240万円以上の売上増加につながりました。

 

 

この2つの成功事例に気を良くした経営者は、
次のA駅前店では、ちょうど隣にテナントが空いたので、
そこと本来の店を繋げてまるまる客席にしてみたのです。

客席は29席から88席増えて110席です。約4倍にしたのです。

すると、売上は4倍とはいきませんが、それでも563万円という大きな増加でした。

隣のテナントまで借りての家賃の増加は60万円程度で済みましたので、
改装費用を加えても、十分ペイするどころか、大きな利益増に繋がりました。

 

 

こうした事例を重ねられたことで、経営者はとても自信を持ちました。

しかし、この自信がやや揺らいだのが、M市にあったX店とY店です。

それぞれX店は72席、Y店は46席と、大きく増やしたにも拘わらず、
思うように売上は伸びなかったのです。

ここで分かったことは、

X店とY店はそれぞれ、最初から客席数を大きく確保していたため、
すでに十分、街のポテンシャルを吸引できていた

ということでした。

 

つまり、上記の第二の条件を、ちゃんと満たせていなかったということです。
お店の規模が大きく、ピークカットが、ほとんど起きていなかったのです。

しかし、それでもなお、300万円前後の売上増加が得られたのですから、
改装は正解だったと言えるでしょう。

 

 

客席を減らせば売上げは当然ダウンする

上記のチェーンでは、さらにもう一つ、興味深い事例が発生しました。

 

ある時、新宿にある大型の店で、
「営業しながら改装する」
という特殊なことをおこなったのです。

つまり、本来あった144席のほとんどをクローズして、
残り15席だけで営業を続けながら、工事をしました。

 

すると、どうなったでしょうか。

 

売上は、月商で3,000万円近いダウンです。

 

想定以上のダウンで、このことは、
「客席のありがたさ」が身に染みた事例になったようです。

このチェーンは、テイクアウトもやっていましたが、
狭い店で、テイクアウトばかりでは、ほとんど営業として成り立たない
お客さんに迷惑をかけるばかりの状況に陥ったのです。

 

言うまでもなく、新宿は、巨大なマーケットです。

第一の条件にあるように、マーケットが大きいと、
客席の変動による影響も、きわめて大きくなります。
それを如実に示している証拠です。

 

マーケットが大きければ大きいほど、
沢山客席を増やせば、売上げも沢山増やせます。

すなわち、それは逆を言えば、マーケットが大きければ大きいほど、
客席を減らすことが、きわめて大打撃なのです。

 

 

 

客席数を増やす前にしっかり現状をリサーチしておく

こうやって丹念に、改装の度に客席数の増減を記録し、
これと改装前・改装後の売上と客数のデータも、
揃えておくようにしましょう。

こうすることで、客席増の効果が、どんな理由で起きているかを分析することができます。

 

 

最後に・・・・

客席を増やすことのみに限らず、店舗では、土地・建物に対して、
様々な工夫を施すことができます。

特に「改装工事」は、その絶好のチャンスです。

そのことが、こちらのブログ記事にまとめられております。
併せてお読みください。

 

 

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