店舗開発と立地調査は似て非なるもの

私たちのコンサルティングでは、20年来、
「立地調査の部門の担当者は、
原則としてその部門の専任とする」
として、人材育成をおこなってきました。

すなわち、
「立地調査部は店舗開発部とは別にする」
ということです。

 

 

しかし近年、多くのチェーンが慢性的な人手不足で、
現実的にはなかなかその通りにはいかず、
「店舗開発部員に立地調査のスキルを身につけさせる」
というケースが増えてきています。

確かに、店舗開発も立地調査も、どちらも、
「店舗物件を見る」ということにおいては、
大きく似ているところはあります。

ですから、企業側からしてみれば、
店舗開発部員が一緒に立地調査もやってくれれば、
人件費の節約になると考えるのも、
無理のないことではあるでしょう。

 

 

しかしながら・・・・

そもそも店舗開発と立地調査は似て非なるものであり、
本当に健全な出店戦略作り、盤石な組織作りのためには、
それぞれ別の人間が担当する、というのがベストなのです。

 

 

 

 

店舗開発部と立地調査部のメンバーを分けるべき理由

ひと昔前までは、マクドナルドをはじめ、
数百~数千店にまでなったチェーンにおいては、
数々の企業が、そうした組織編成をしていました。

 

 

店舗開発部と、立地調査部を、
別々にするべき理由は何でしょうか?

 

 

簡単なことです。
それは、

「店舗開発部員が立地を評価すると、
どうしても主観的になってしまうから」

です。

 

 

 

もう少し詳しく説明しましょう。

以前にも書きましたが、店舗開発の最大の使命とは、
「売れるお店をたくさん出店すること」です。

 

そして、この、「たくさん」というところがポイントなのです。

多くの企業で、店舗開発部員には、
出店のノルマがあることでしょう。

そのノルマをクリアするためには、
良い物件をたくさん見つけてこなければなりません。

そして、積極的に契約していきたいわけです。

 

となると・・・・どうしても、
無意識のうちに立地評価が甘くなってしまうのです。

これは、十分に気を付けていたとしても、
なかなか避けることができません。

というよりも、人情的に仕方のないことですから。

 

 

なお、店舗開発はそういった事情から評価が甘くなりますが、
一方で、店長やスーパーバイザーの所属する営業部は、
反対に候補物件のネガティブな面を強調することが多いものです。

 

これも、考えてみれば、当然かもしれません。

なぜなら、一度店舗を開いてしまえば、
その後の売上げと収益の責任は営業部に移るから、です。

どんなに店舗社員、アルバイトが頑張っても、
収益が出ないような立地では困るのです。

営業部の立場としては、
立地はベストでなければ困る
というのが本音であるわけです。

そのため、候補物件に対して、あれこれと、
重箱の隅をつつくような指摘をしがちになります。

 

 

 

 

第三者機関としての「立地調査部」の意義

店舗開発部は立地評価に甘くなり、
反対に営業部は、厳しくなる。

 

これは、どちらも心情的には当然のことです。

とはいえ、企業側としては、それでは困りますね。
甘くも厳しくもなく、ただ純然と、
いくら売れるのかという「事実」が、必要なわけですから。

 

 

そのため、そういった主観的な偏りが極力入らないよう、
客観的に立地の良し悪しを判定できるように、
第三者機関として、「立地調査部」が必要になるのです。

 

 

 

立地調査部は、開店することを前提とした調査ではありませんから、
立地上の良い点を過大に評価したり、難点を無視したりすることをしません。

どんなに詳しく調査することを義務付けたとて、
「あばたもエクボ」のようにはなりません。

 

「物件が駅からの視界性がとれなくとも交差点からは見えるからいいだろう」
というように、都合のいいように解釈を変えたり、
「駐車台数が取れなくても側道に止められるから大丈夫」ということにはしません。

ベストではない物件に対して、
ベストに限りなく近い物件であると、
曖昧な報告をすることもありません。

ましてや、仲介業者の情報を鵜呑みにしたり、
地図や見取り図での調査だけで終わらせることも、
絶対にありません。

 

万が一の危険性を未然に防止するばかりか、
常に客観的な意見を述べ、
正しい調査を行なうのが、出店調査部です。

 

 

 

どんどん、売れるお店を増やしていくためには、
しっかりと立地を見極めていく必要があります。

しかし、店舗開発部員にとっては、
「出店数を増やすこと」「立地を見極めること」は、
時に、二律背反の状況を生み出すことがあります。

 

「立地を慎重に見極めていたら、
いつまでも出店できなかった」という事態や、
逆に「出店ノルマをこなすために、
本当は良くない立地を甘く評価して出店させた」
という事態を引き起こしかねません。

 

ですから、そういったものに縛られない、
独立した機関である「立地調査部」が、必要なのです。

 

 

 

 

出店にまつわる部署の三権分立

立地をしっかり調査できるか否か。

それが、店舗数が2ケタで終わってしまうか、
それとも全国に数百店舗出店できるかの、
大きなキーポイントとなります。

 

立地調査・売上予測の部門と、
店舗開発の部門と、
営業の部門とで、
三権分立が構築できるのが理想です。

 

ショップビジネス三権分立

 

どこに人材リソースを割くべきか

昨今、どんなショップビジネス企業も、
人材不足が深刻になってきています。

「出店は決まったのにアルバイトが雇えなくて、
オープンが先延ばしになってしまった」
という笑えない話は、年々増えているようです。

 

 

そんな状況だからこそ、
「どこに人材というリソースを割くか」
ということについては、企業の未来を考えた時、
しっかりと見極める必要があります。

盤石な出店戦略を打ち立てていこうとするならば、
立地調査にこそ、力を傾けることを、オススメいたします。

 

 

最後に・・・・
立地調査の部門がある・なしで、チェーンがどう成長していくか。
面白いデータがありますので、この記事も参考になさってください。
<参考>

 

 

 

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