なぜ「物件選びで失敗する人」が後を絶たないのか

物件選び・立地選びは、出店の根幹をなす、
きわめて重要な課題のひとつです。

お店を出そうと思っている人の中に、
立地を考えない人はほとんどいないでしょう。

「どこにお店を出すか」という観点なしに、
出店を語ることはできません。

それは、わざわざこうして書くまでもない、
当たり前のことです。

 

 

しかし、そうであるならば、なぜこんなにも、

「物件選びで失敗する人」

が、後を絶たないのでしょうか?

現在出店されている全てのお店について、
そのオーナーまたは企業は、
「立地を考えて」出店したはずです。

誰もが立地をちゃんと考えたにも関わらず・・・・
実際には、毎年、新しく開業されるお店の数より、
閉店・撤退していくお店の数の方が多いと言われています。

 

本当に立地をしっかり考えているならば、
こんなことになるでしょうか?

 

勿論、お店の閉店の理由は、
立地に起因するものだけではありません。

営業力や商品の魅力など、
お店の「中身」が悪いことが原因で、
お客さんが来ないことも多々あるでしょう。

それに、売上不振にはならなくても、
店主が高齢になって続けていけないとか、
再開発のために立ち退くとか、
そういった理由での閉店もあります。

決して、「立地が悪くて集客できなかった」ということだけが、
お店が失敗していく理由になるわけではないでしょう。

 

とはいえ、そうであったとしても、
「立地8割(※)」と言われるように、
閉店していくお店の売上不振について、
その多くが立地が原因であると言われるのも確かです。

(※)
とりわけ飲食業界で一般的に使われる、
「お店の売上げの高さは立地要因によって8割決まる」
という意味の言葉です。

 

なぜ、そのようなことになってしまうのでしょうか?

「立地8割」と分かっているにも関わらず、
立地を軽視して、ちゃんと真剣に選ばなかったからでしょうか?

もしくは、単純に知識やノウハウ不足だったからでしょうか?

 

 

勿論、きっとそういった場合もあるでしょう。

しかし、実際に失敗した人たちと話していると、
もっともっと根本的なところで、
「間違った見方」をしている人が多いことに気づきます。

 

 

 

根本的なところでの「間違った物件の見方」

とりわけこれは、チェーン企業よりも、
初めて出店開業する個人さんに多く見受けられます。

彼らは、真剣に物件を探していないわけではありません。
チェーン企業の担当者よりも、もっと自分自身の人生に直結しますから、
個人事業主の大半は、物件選びに真剣そのものです。

 

それでも、この部分の物の見方を間違ってしまうから、
すべての真剣さが空回りしてしまうことに繋がるのです。

 

 

そんな彼らが陥りがちになる間違いとは・・・・

 

「住居用の物件と同じ見方で立地を選んでしまう」

 

ということです。

 

本当に、こういう間違いをしてしまう人が多いのです。

 

なぜ「住居用の物件」と同じ見方ではいけないのか

当たり前ですが、住むための物件と、
お店をやるための物件では、
「見るべきポイント」が全く違います

それは、物件の設備の話ではありません。

住居用物件の「良い立地」と、
店舗用物件の「良い立地」とでは、
「良し悪し」の基準が、まったく異なるのです。

 

開業希望者たちは、「真剣」に、
「住居として良い立地」の物件を探してしまう。
これが、大きな失敗の原因になります。

しかも、厄介なことにそうした人々のほとんどが、
「自分が間違った見方をしていることに無自覚」
です。

本人たちは、
「ちゃんとお店をやる目線で選んでる」
と考えて取り組んでいるのでしょう。

 

 

見方を間違えてしまうポイント①~複数の駅からアクセス可能!?

では、どういったところで思い違いをしているのか、
いくつか事例を挙げてご説明しますと・・・・

 

ある開業者さんは、
「この物件、3駅からアクセス可能なんですよ!」
と嬉々として仰っていました。

物件の周りに鉄道駅が複数あると、
確かに、これはプラスに感じられてしまうでしょう。

住居としてであれば、住む人間にとって、
複数の駅を使い分けられることは、
「自宅から色んな場所へアクセスする」
ために、とても便利になります。

 

しかしながら、これは大きな間違いであり、
店舗立地としては、基本的にマイナス要素になります。

 

なぜなら、
「お店の周りに住んでいる人々が、
それら複数の駅に分散してしまう」
ということに加え、
「複数駅を利用可能ということは、
各駅からの距離は遠い」
ということだからです。

 

「3駅アクセス可能」を便利だと思えるのは、
その「物件を起点にして」考えているからです。

住居の場合はそれで構いませんが、お店の場合は違いますね。
お店は、お客さんが目指してやってくる「終点」です。
「起点」になるのは、むしろ周りの人々の自宅や、駅の方です。

周辺住民の家を「起点」にした時、便利だと思えるのは、
「家に近いこと」「家から駅までの動線上にあること」
などのような場合です。

たとえ周りに3駅存在したとしても、
A駅に近い場所に住んでいる人は、A駅に向かいますから、
B駅やC駅を使いません。

つまり、その物件とA駅の間に住んでいる人たちは、
「お店は駅と反対方向にあるから不便」
と感じてしまうわけです。

 

また、駅を「起点」に考えたら・・・・
A駅から来るお客さんにとっては、
そのお店がB駅やC駅に近いことなど、
特に何のメリットにもなりません。

「A駅に近いかどうか」だけが問題です。

複数駅からアクセスできることが売りだと、
駅同士は離れている場合が多いものですから、
「駅からは遠い」ということになります。

するとつまり、
「A駅もB駅もC駅も利用可能」
という状況は、言い換えれば、

「A駅からもB駅からもC駅からも、
遠くて遠くて不便な物件」
となってしまうわけです。

 

 

 

見方を間違えてしまうポイント②~駅近徒歩1分!?

また、「駅近徒歩1分!」という不動産情報の見出しを、
その物件を選んだ決め手にしてしまう人もいます。

言わずもがな、
「駅から近くても動線ができていない道はNG」
という意味でもありますが、それ以前に、
「そもそも業態として駅をTGとして見ていいのか」
ということを考えていない場合も多くあります。

 

例えば実際にあった事例として、
クリーニング店が、駅近くの一等地に店を構えたのですが、
売上げは芳しくありませんでした。

「こんなに駅に近く、そして動線もあるのに、なぜ?」
と思われましたが・・・・
少し考えてみれば、当たり前のことです。

クリーニング屋のメイン客層は誰でしょうか?
老若男女いると思いますが、基本的には主婦の方々ですね。

そういった方々は、日常的に駅を使うでしょうか?
いいえ、ほとんど使いません。

駅は巨大なTGですが、駅を使うのは、
就業や就学のために移動をする人たちばかりです。

その人たちもクリーニング屋を使わなくはないでしょうが、
そんなに頻繁には使いません。

 

「駅から近い方が便利でいいだろう」と思うのは、
自分がその街に住んで、移動することを考えているからです。

お店に来るお客さん目線で考えたら、
駅に近いことがまったく関係ない場合もあります。

 

 

 

 

「住居用」と「店舗用」では物件の見方は正反対

例えばこういうところに出てくるのです、
物件選びにおける、「間違った見方」というものは。

 

初めて開業する人々にとって、
「お店の」物件探しというのは、
まったく未知のアクティビティです。

けれども、「住むための」物件探しならば、
したことがある人も多いでしょうし、
周りにも沢山経験者がいるでしょう。

ですから、その感覚のまま、「見方」をそのままに、
真剣さばかり増してしまうので、失敗してしまうのです。

「物件を起点にする」という考えのまま、
「良い立地」を探してしまえば、間違えるのは当然です。

住むための立地において、「物件は起点」ですが、
お店の立地においては、「物件は終点」なのですから、
極端に言えば、「正反対の考え方をする必要がある」のです。

 

 

 

不動産業者に聞いてもこうした落とし穴は教えてくれない

こうしたことは、不動産業者の方々も、
ちゃんと理解していない場合が多くあります。

ですので、店舗物件情報にも、
住居用物件と同じような売り文句を書いてしまいます。

上の事例の、
「複数駅からアクセス可能」
「駅近徒歩1分」
というのは、その一例に過ぎません。

他にも、同じような落とし穴は沢山あります。

別にその不動産業者さんは、あなたを騙すつもりではないでしょう。
しかし、その人自身も、店舗物件の立地の正しい見方を知らないため、
「不動産屋が言うんだから良い物件なんだろう」と鵜呑みにしてしまうと、
痛い目を見てしまうことになります。

 

 

 

 

「お客さん目線」で物件を探せば「当たり前のこと」に気付けるはず

私たちがお伝えしている立地理論は、究極的には、
そうした「お客さん目線になって考えれば当たり前のこと」を、
分かりやすい形にしただけのものなのです。

TGに近い方が良い、
動線上にある方が良い、
視界性が良いことが重要、
などということのいずれもが、よくよくお客さん目線に立てば、
当たり前に理解できるはずのことです。

ですので、初めて出店開業される方でも、
こうした根本的な見方の違いを理解されている方は、
私たちが少しレクチャーするだけで、
良い物件をすぐに見つけることができるようになります。

(それら立地要因のひとつひとつが売上にどれだけ影響するか、
その精緻な分析には専門知識や経験が必要ですが・・・・)

雑誌などで紹介される、繁盛店のインタビュー記事を読んでも、
立地選びで成功されている方は、必ずと言っていいほど、
徹底したお客さん目線で物件を選んでいます。

ノウハウや知識、経験は大切な物ですが、
まずはこの視点の置きどころを間違えないことが、
出店開業の立地選びに最も重要なことなのです。

 

 

 

今まさに物件を探している皆様。

どういった条件で、どんな物件を探していますか?

そしてその条件は、本当の本当の本当に、
「お客さん目線」で設定したものですか?

お店をやる自分側の目線で選んだり、
ましてや住宅用の物件と同じような基準で選んだり、
そんなことになってはいませんか?

改めて、条件設定を見直してみてください。

そして、しっかりと「お店の立地」を見る目線で、
街を、物件を、立地を見ていってください。

それだけでも、見える景色は違うはずです。

 

 

 

「なかなか良い物件が出ない」
という悩みの解決の糸口は、
まずそこに探してみることをオススメします。

 

 

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