以前の記事にて、

という、建物制約について触れました。

 

「お店の立地」というと、TGや動線、視界性など、
お客さんの目線やその行動に主に意識が行きがちですが、
こうした「物件の建物」自体の制約も、
売上げに大きく影響する立派な「立地要因」です。

 

 

では、今回は、土地や建物の制約において、
他にどんな要因があるのか、ざっとお話いたします。

 

細かく挙げていくと、チェックポイントは膨大な数になりますが、
大別すると、以下の7つにまとめられます。
これから新規出店を考えていらっしゃる方々は、
物件を見た時、こうしたことにフォーカスしてみてください。

 

 

 

①物件の規模

まず物件について何よりも重要なポイントは、
その物件の規模(面積)です。

これは当然、狭すぎても広すぎてもいけません。
業態や商圏、立地に応じて、適正な広さの物件を探すべきです。

 

なお、よく立地相談にて、

「何坪がちょうどいいのですか?」

と質問されることがありますが、
このことについて、これといった絶対的な基準はありません。

業態によってはもちろんのこと、
立地によっても、ケースバイケースです。

 

ただし、判断のコツとしては、

ピークカット(満席状態が続くことによる機会損失)が起きにくいこと

ということが言えます。

 

 

例えばランチタイムに、30席がちょうど満席になるくらいの、
入店状況が3回転で1時間続くような繁盛立地に、
飲食店を出店するとします。

そういった場所で、仮に15席くらいしか確保できない物件ですと、
常にウェイティングがずっとできている状況ということになります。

30席が3回転で90人のお客さんが1時間で来るわけですから、
それを15席でしたら、6回転・・・・2時間ですよね。

ここで、
「2時間かければ回転するんだからいい」
と思ってはいけません。
ランチタイムのピークは、そんなに長くは続かないからです。

長くても3時間、場合によっては1時間くらいしか、
「ピーク」というものは続かないことがあります。

すると、もしその物件が15席しか無ければ、
3回転で45人しか入店できず、
その時間の売上げは、立地から見る最大の売上げと比べると、
半減してしまうということになります。

 

では逆に、ここで60席あればいいのかというと・・・・
それも、実は違うのです。

席が多ければ多いほどいい、というものでもありません。

ピークタイムが1時間であれば、
「ランチタイムに1時間90人」というのが、
その立地における集客の最大値であるわけです。

すなわち、60席あっても、3回転が1.5回転で済む、
というだけの話です。

多少は客数も増えるかもしれませんが、
建物の大きさと客数は、そのものに強い相関はありませんから、
大きければ売上げが高まるということではありません。

そして、規模が大きいということはそれだけ、
家賃も高いということですから・・・・

ランチのピーク時以外のことを考えると、
「面積が大きすぎて家賃の方がが高くついてしまう」
ということですね。

 

 

 

②物件の階層

2F居酒屋の狭い1F階段間口

以前の記事でも書いたように、
階層が変われば、当然、売上げも変わります。

一方で、空中階になれば家賃も安くなりますので、
その兼ね合いがつく物件を探すことをおすすめします。

 

ただし、注意点として覚えておかなければならないのは、
地下や空中の物件は、入りやすさや視界性に問題がある場合が多いということです。

したがって、地下や空中の物件で良好なのは、
「地下なのにまるで1階にあるように見える」
というようなものになります。

 

なお、これは勘違いしてしまう人も多いのですが、
物件が1~2階など複数階層である場合、
1階層だけの場合より売上げは低くなるのです。

同じ30坪の物件があったとしても、
1階層だけで30坪の物件と、
15坪が2階層で30坪の物件だと、
その他の立地要因が同じ評価だったとしても、
5~10%程度、売上げに差が出る恐れがあります。

加えて、複数階層の場合は往々にして人件費などの経費も
多めにかかることが推測されます。
(1階層だけなら1人で見られる広さでも、
2階層になるとそれぞれ1階層につき1人配置するから)

 

 

 

③建物の形状・地形(じがた)

同じ規模の物件でも、その形状によって使い勝手が違います。

ベストなのは、より正方形に近い形をした物件です。

これが細長くなったり、変形していればいるほど、
空間を効率的に活用することが難しくなります。

入口間口が狭くて、奥に細長い物件を、
「うなぎの寝床」
と呼びますが・・・・
こうした物件は、極力避けるべきですね。

 

また、ロードサイド物件の場合は、建物自体ももちろんですが、
駐車場まで含めた敷地の形状を必ず意識してください。

広さは十分であったとしても、敷地の形状次第では、
駐車場を効率よく配置できない恐れも有ります。

 

 

 

④間口の幅や形状

広い間口に店外席で視界性も誘引性もアップ

間口は、基本的に広ければ広いほど物件として良好です。

通行人対象の店舗間口は、
標準として「5m」以上であることが望ましいでしょう。
これ以上狭くなると、お店への入りにくさが増し、
加えて、視界性もどんどん悪くなります。

下の写真のようなラーメン店は、(置き看板を設置しているとはいえ)
通行人から自然には気付かれにくいものですし、
初見の人からすれば、とても心理的に入りにくさを感じます。

間口が狭くすごく奥まったラーメン店

また、広さ以外にも、間口が変形していたり、
道路からセットバックしていたりすることは、
売上げに少なからぬマイナス影響を与えることが分かっています。

そして、段差(階段)があることも、マイナスポイントです。

 

こうしたマイナスポイントは、そのひとつひとつによる影響は微々たるものですが、
これらを軽視または無視して、その小さなマイナス影響が積み重なると・・・・
その結果として、20~30%の大きな売上減に繋がってしまう恐れもあるのです。

事実、立地はそんなに悪くないにも関わらず、
物件にこうした小さなマイナス点が多かったために、
繁盛できずに撤退してきたお店は数えきれないほどあります。

これは、チェーン店の分析をしていると非常によく分かるのですが、
建物制約のチェックポイントを、7つと言わず20項目ほどに分類し、
その良し悪しを評価していくと・・・・

「マイナス点が1つも無い物件」と、
「小さなマイナスが積み重なっている物件」とでは、
他の立地条件が同じでも、最大で2倍以上の売上げの開きが出ました。

 

 

また、ロードサイド立地においては、
「車の進入間口」が重要です。

進入間口は、「6m」以上であることが必須です。
これ以上狭くなると、入る車と出る車のすれ違いが難しくなります。

とりわけ、女性ドライバーは間口の狭さに心理的負担を大きく感じます
「あそこのお店は駐車場に入りにくい」と思われたら、
知らず知らずのうちにお客さんが来なくなってしまう恐れもあるため、
「ちょっとくらい狭くても大丈夫だろう」と油断しないようにしてください。

右折レーンもあるし間口も広いし入りやすい

 

なお、店舗間口には、広さや形状の他にも、
売上げを左右する、ある重要なポイントがあります。

それは、
「お店の外から中が見えるかどうか」
ということです。

人は、知らないお店には多かれ少なかれ警戒心を抱いています。
どんなお店なのか、いざ入ってみてからハズレ、となってしまうことを無意識に恐れます。

そのため、外から中の様子が分かることは、安心感に繋がるのです。

ちなみに、このことを調査して分析したレポートが別記事にあります。
よかったら読んでみてください。

 

<参考>

 

なんと、お店の外から中の様子が分かるお店は、
分からないお店と比べて、平均で約35%も売上げが高かった、
ということが分かりました。

一概に全てのお店に当てはまることではありませんが、
無視はできない、驚異的な数字ですね。

 

 

 

⑤看板の置き場所

通行人対象立地の物件の場合、袖看板や置き看板の位置次第で、
店前歩行者からお店がどれほど見つけやすいかが変わります。

歩行者の視界に自然に入る位置に看板を設置できるかどうか、
必ずしっかりチェックするようにしてください。

物件によっては、看板を出せない場合もあります。
そうした場合は、他にちゃんと店舗を目立たせる手段がないか、
必ず対策を考えておくことが大切です。

下の写真の、2階の「かまどか」は、2階部分の看板は勿論のこと、
1階の階段の入り口の部分などにも掲出できています。

このことは、歩行者視界性に少なからぬプラスを与えています。

専用階段のある2階店舗

 

また、ロードサイド立地なら、ポール看板を設置できる場合があります。

隣接する建物や他店の看板のほか、街路樹などによって隠れないよう、
ドライバーから自然に見つけてもらえる位置はどこか、チェックしてください。

こうしたことに関しては、
具体例をこちらでも書いていますのでどうぞ。

 

<参考>

 

 

 

⑥周辺の土地の傾斜(坂道)

敷地内に盛り土がしてあって高低差ある

チェックしなければならないのは、建物だけではありません。

物件周辺の土地の状況もまた、
売上げに大きな影響を与える制約となる可能性があります。

そのうちのひとつが、「坂道」です。
物件が坂道の途中にある時、これは大きなマイナスポイントになります。

店前道路を歩く人たちの意識は、坂を上る(または下る)ことに向かい、
平坦な道にいる時よりも、周囲のお店には向かなくなるからです。

また、坂道が多いエリアというのは、それだけで、
「あの辺りは坂が多くて大変だから」と敬遠されがちになり、
人が寄り付きにくくなるのです。

さらに、店前道路が傾斜していることで、
物件の建物構造にも影響が出ることがあります。
(店舗間口が変形している等)

 

 

 

⑦周辺環境

土地の構造ももちろんですが、周辺の環境も重要です。

店前の自転車

例えば、
「入口の前に放置自転車がある」
「物件前が地域のゴミ捨て場」
などは、目に見えて人々の来店を阻害します。

また、他にも、
「夕方になると西日が当たる」
「店前道路の歩道が狭く、車通りが多くて危険である」
「鉄道線路が近くて振動が響く」
などなど・・・・

これもまた、「こんな小さなことが」と思えることが、実は、
集客を妨げる大きな原因になっていることが多々あるのです。

こういったことは、実査をする際に、
徹底的にお客さんの立場・目線になって、
感じ取るようにしてください。

 

 

 

 

 

 

「完璧な物件」に巡り合うことは難しいものの・・・・

以上、全部で7つのポイントです。

これらをしっかり押さえ、
なるべく良い物件を選んで出店していただければと思います。

 

 

なお、どれだけ探しても、『完璧な物件』に巡り合うことは、
現実的には非常に難しいというのが正直なところです。

大抵どんな物件にも、何かしら大なり小なりマイナス点はあるからです。

しかしながら・・・・

それをちゃんとチェックし、理解した上で出店することと、
物件を細かく精査せずなんとなくで出店してしまうこととでは、
後々で全然違う結果を生むことになります。

しっかり、前もって知っていれば、対策の練りようがあるのですから。

そのため、必ずこれらのことを徹底してチェックし、
気になるマイナス点が見つかったならば、
店舗を運営する上でそこをどうフォローするか、
ちゃんとイメージして出店計画を立てるようにしましょう。
 

 

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